夏の夜、ふと空を見上げて「今年、どこの花火を見ようかな」と思うことはありませんか。
都会の花火大会は、人が多すぎて、会場にたどり着くだけでへとへとになる。ビルの隙間から遠くの花火をちらっと見て、「まあ、見たことにするか」で終わる年もあります。
秋田には、日本中の花火師が人生を懸けて集まる夜があります。
「大曲(おおまがり)の花火」です。
ただの花火大会ではなく、競技です
正式名称は「全国花火競技大会」。
そう、花火の出来栄え、花火師たちの腕を競う「競技」なのです。
全国から選び抜かれた28の花火業者が、日本の花火界でいちばんの栄誉「内閣総理大臣賞」を目指して、自分の作品を打ち上げる。花火師にとって、年に一度の晴れ舞台です。
打ち上げられる花火は、一晩で約18,000発。
観客はただ「きれいだね」と眺めるだけでもいいのですが、これが競技だと知って見ると、景色が変わります。一発一発が、誰かの一年の集大成なのです。
花火が開くたびに、会場のどこかで花火師さんが祈るように空を見上げている。そう思うと、拍手にも少し力がこもります。
どうやって競っているの?
競技は3部門の総合評価で、最高賞の「内閣総理大臣賞」などが決まります。花火師は自分で製造した花火を持参して打ち上げるのが参加条件です。
① 昼花火の部(5号玉5発)
② 10号玉の部(2発)
芯入割物(課題玉):三重芯以上の同心円状の菊型花火。いわば「規定演技」で、完成度の高さが問われます。具体的には、玉が空のてっぺんでぴたりと開くか、光の粒が均等な真円に飛ぶか、全部の光が一斉にすっと消えるかといった点が見られると言われます
自由玉:千輪・冠菊・型物など型は自由。一発に込める創造性の「自由演技」です
③ 創造花火の部(2分30秒)
色・音・リズム・立体感を組み合わせ、作品タイトル(玉名)に掲げた世界観を演出するプログラム。音楽との調和も評価対象になります。大曲発祥の種目です。
昼間に花火? 日本でここだけの競技
大曲の花火には、ちょっと不思議な部門があります。
「昼花火」です。
夕方5時すぎ、まだ空が明るいうちに打ち上がる花火。光の代わりに、色とりどりの煙が空に描かれます。昼花火の競技大会は、日本でここだけだそうです。
「明るいのに花火?」と思いますよね。私も最初はそう思いました。でも、青空を背景に、紅や黄色の煙がすうっと流れていく様子は、夜の花火とはまったく別の美しさです。
競技としては、光ではなく煙の色彩で競います。いかに色を鮮明に空に描き出すかが腕の見せどころです。
ちょっと通好みの、大人の花火。夜の本番前の腹ごしらえならぬ「目ごしらえ」にどうぞ。
明治43年から続く、花火の聖地
大曲の花火の第1回は、1910年(明治43年)。今年でなんと第98回、116年の歴史があります。
会場は、大仙市を流れる雄物川(おものがわ)の河川敷。ふだんは静かな田園のまちが、この日だけは日本中の花火好きであふれます。
1964年には「創造花火」という種目をここで全国に先がけて導入し、花火を「音楽と物語のある芸術」に進化させました。大曲が「花火の聖地」と呼ばれるのは、伝統だけでなく、花火の未来をつくり続けてきた場所だからなのです。
今年は8月29日(土)です
第98回大会は、2026年8月29日(土)。昼花火が17時10分から、夜花火は19時から21時30分まで。会場は「大曲の花火」公園(雄物川河畔)です。
この日の大仙市はとても混みます。宿も早く埋まります。ご覧になりたい方は、観覧席や宿の手配をお早めに。
臨時列車も出ますので、大仙市以外への宿泊もご検討ください。
車で来る場合は・・・
大渋滞です!
例年、昼花火の前には、もう駐車場はいっぱいです。
トイレもほとんどありません。
民家は有料でトイレや駐車場を提供しています(笑)
そして、終わった後の渋滞も半端じゃありません。
最後まで見た場合、きっと宿(家)に着くのは日付は変わっているでしょう。
夜空に舞う、一瞬の芸術
視界いっぱいの夜空に、誰かの一年が、次々と花開いていく。帰り道、しばらく誰もうまく感想を言えない。そんな夜になるはずです。
先週ご紹介した竿燈まつりが8月上旬、大曲の花火が8月末。秋田の夏は、はじまりと締めくくりに、大きな光の祭りがあるのです。
あきたでほのぼの暮らししてみませんか?
*参考:[大曲の花火 公式サイト](https://www.omagari-hanabi.com/)*




きれいだねと眺めている花火の奥深さをしりました。
「視界いっぱいの夜空に、誰かの一年が、次々と花開いていく」
のを見学できるのは幸せですね。
私も長岡の花火を見に行ったことがあります。
すごかったです。
でもトイレがないのがちょっとストレスだったりした思い出があります。